家を建てるときに気を付けたい 収納と間取りの関係

消費税等の税金の課税が上がることが決まってから、住宅を建てられる方が増えてきていますね。

そこで、今回は、家を建てる、あるいは、購入する前に知っておいていただきたい、

片付けと間取りの関係についてのお話。

 

最近家に入る住宅の広告で、「この間取りのポイントは、収納率!」と書かれているのを目にします。

「残念!」

と思ってしまいます。

 

収納率というのは、収納スペースの面積の合計を家の面積で割ったもので、

要するに、家の中にどれだけ収納スペースがあるか、を示した数字です。

単純に、収納スペースの面積が増えれば、家が片付く!と思って建てた家に住んでいるのに、

結局片付かず、どうにかしてほしいんです!とご依頼いただくこともよくあること。

なぜ、収納スペースがたくさんあるのに、片付かないのでしょうか?

 

「それは、必要なところに、必要な収納がないから。」

 

たとえば、88㎡のマンションに10㎡(約6帖)の納戸を設けたとしましょう。

これは、世間でいいとされる収納率、11%に相当します。

建築基準法上採光が必要な部屋でもないので、みんなが使いやすいように、家の中心に設けたとします。

これ以上収納を設けると、部屋が小さくなってしまうので、収納は、その納戸だけ。

 

家の中心に納戸を持って来ているので、各部屋はたくさん窓が設けられて、明るく気持ちのいい空間に。

これがモデルルームとなっていた場合、まず、光がたくさん差し込んで、

『明るくて気持ちのいい空間♪』

と、気に入ることでしょう。

 

さらに、6帖もある納戸!

もしかしたら、ファミリーカーゴなんていう、おしゃれな名前がついてるかもしれません。

これだけの収納量があれば、家がすっきりするはず!と思って、購入される方が、実は、とっても多いんです。

そして、入居後、すぐに片付かないことに悩み始めるんです。

その納戸には開かずの段ボール箱が積まれ、開かずの間になってしまうことも。。。

 

収納スペースは、いいとされる11%もあるのに、なぜ、片付かないのでしょうか?

理由は簡単。

「使いたいところに、物が置けないから。」

 

例えば、イメージしてください。

爪切りはどこでしますか?

わたしはリビング・ダイニングで爪を切ります。

だから、爪切りは、リビングダイニングによく使うもの用トレーを設けて、そこに置いています。

 

これが、家の中心の納戸に収納となったら、どうでしょう?

爪を切るときにとっては来ても、片付けに行くのは、何かのついでに。。。

そして、ついでの時には忘れてる。。。(;^ω^)

ということになるのが、人というものではないでしょうか?

 

このことからわかるように、物は使う場所の近くに収納することで、片付くようになるんです。

 

家族の物がたくさん集まってくるリビング・ダイニング。

そこで使うものを収納する収納スペースが設置されている間取りを見ることはめったにありません。

このことを分かって購入するのと、わからずに購入するのとでは、

入居してからの不満は全く違うものとなります。

家を購入する際、後悔しないためには、ご自身の生活、物を見直すことが大切になってきます。

 

今まで、一級建築士として、マンションの設計など住まいづくりを行ってきました。

マンションの場合は、デベロッパーという企画・販売をするところがあり、

デベロッパーさんの意向により、設計を行います。

収納スペースについて、提案をしても、「売れない!」と却下されてしまうんですね。

広い部屋や、明るいリビング・ダイニングの方が売れるということで。

 

このように、非常に残念なことなのですが、専門家である、建築士や工務店、デベロッパーの方で、

収納についてきちんと学ばれている方が、ほとんどいないというのが、現状です。

だから、購入者自身が分かっていなければならないんですね。

家は、お客様にとって、とっても高額なお買い物。

一生に一度という方も少なくないはず。

 

ぜひ、後悔しない、住まいづくりの目を養われてくださいね。

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